2010年10月7日木曜日

コハナバチ巣の掘り出し

わあ、気がついたら2ヶ月近くも放置。 久々の更新は「コハナバチの巣掘り」の話。

 前回紹介したマーキングから数週間経って、ぼつぼつ幼虫が蛹になるころかなあ、という時期になったので、道具を準備して出かけることに・・・と書きたいところなんだけど、実際には北海道らしからぬ猛暑と雨で、採集時期をかなり前倒しにし、押っ取り刀で駆けつけたというのが正しい。

 で、コハナバチは粘土質の土壌に営巣するわけなんですが、雨が多かったせいで地面はぐちょぐちょ。こんなところに這いつくばるのか!ということで、レジャーシートを敷いて小雨が降るなか採集開始。


 まず、こんな風に巣穴の入り口に目印を突っ込んでおくことから始めます。成虫が逃げ出さないようにする簡易蓋と、巣穴の位置を確認するマーカーという役割。
コシがあって柔らかければ何でもいいんですが、そこら辺の草の茎とかで十分ですね。一番いいのは柳の若枝。今回は マツの枯葉を使用。
次に巣穴から10センチほど離して深さ30センチほどの縦穴を掘り、そこからよく研いだバターナイフなどを使って掘り進めて行きます。
今回は予想以上に(っつか予想通りだったんだけど、事務的な問題で採集日程が後ろにずれ込んだ)蛹の成長が早く、時間との戦いだったので写真がありません。


 しばらく掘っていくと、こんな感じで巣が出てきます。・・・とだけ言っても分かるわけないでしょうから、次の画像をご覧ください。



 ・・・と、いうような感じになっています。坑道が育房塊(いくぼうかい)に隣接しているのが特徴です。シオカワコハナバチの育房は周囲の土に埋まっているような形になっており、探り当てるのが結構困難です。しかも雨が降って土がくっつきやすい状況のため、よけいに難渋しました。
 ホクダイコハナバチだと、育房と周囲の土の間に空隙があるので、シオカワよりはもう少し分かりやすいかも。この種は、巣にもよると思いますが、育房塊がある空間と坑道の間が離れている気がします。

 さて、最後は調査中に見つけた阿鼻叫喚図。


 南方系のアリ、トビイロシワアリ Tetramorium tsushimae による襲撃現場。引きずり出されているのはメスの蛹ですね。

 このアリ、よくコハナバチにちょっかいかけるんですよ・・・。広範囲に斥候(スカウト)を派遣し、カモがいると見るや短時間で大量のワーカーを繰り出すため、気づかれたらほぼアウトです。聞くところではチドリのヒナを襲って殺すこともあるそうで。レギオンですな。

 いつもどおりに採集に行ったら、その日一番に掘る予定だった巣がこんなことになっていて、絶句した覚えがありますが、写真を撮った覚えはありませんでした。割と使えそうな写真で、ナイス俺。